8月20日II/ソウル・ホノルル・SF・BM旅行

ホノルル

到着!日付を遡っているので永遠に20日だ。日本時間でも20日は0時から動き続けていて長い一日なのに、やっと終えたと思ったらまだ20日の朝11時だなんて。SFでタイムループに嵌った人の気分だ。時よ進んで。

 


ここで明日の13時まで過ごすので、入国早々、給電スポットと椅子がセットになった仮眠場所を探す。成田や羽田、ジャカルタ、仁川、チャンギなどどこでもあったので、基本的に仮眠場所は空港の設備として常設されているのだろう。

 


一日以上の滞在となるためトランクをピックアップする。リュックと合わせて20キロ以上の大荷物だ。ホノルル空港は敷地の多くが野外で、道も悪い。ローラー付きトランクとはいえ、度々道の凹凸や傾斜にハンドルを取られ、加えて日光で体力を削がれる。これで広い場内を歩き回るのは骨が折れる。チェックインを試みるも、まだトランクを預かってもらうことも、ゲートの中へ入場させてもらうこともできない。

 


平田さんが「ホノルル国際空港で野宿する方法」というページを送ってくれる(https://www.stoicfps.com/32514/)。これを読むと給電場所や24時間営業の店舗、椅子、両替所、自販機などが一通り揃っていて居心地よく過ごせるという。ならばあるはず。私は20キロ近い荷物を引きずって場内をすべて歩き通す。

 


結論から言って、いま私がアクセスできるゲージ回復地点・アイテム入手地点は、給水所、飲みもの限定のスターバックス、以上。長旅で既にモバイルバッテリー3機中2機が残量なし、あとひとつも半分程度と言ったところ。飛行機のおかげでスマホ自体はフル充電だが、暑さとバッテリーの劣化で消耗が激しい。知らない土地で丸一日過ごすには心許ない状況だ。

 


宿泊すると2万以上と高いが、せめて市街へ出て充電量だけ回復するかと交通手段を調べる。支払いはすべてクレカとある。私のクレカはヨーロッパで全く使えない時が多かったため、利用後に料金を払えない場合が不安すぎて断念する。交通費も、空港と市街の往復で1万近く飛ぶので決して安くない。バーニングマンと旅費で財布も口座ももう砂漠くらい乾き切っている。

 


せめて現金があれば。両替か、クレカでキャッシングできれば。しかし、何度探しても、そしてやっと見つけた空港のWeb地図を見ても私の行ける範囲には一切何もない。ATMが一台あったがOUT OF ORDERで、両替所は長いこと臨時休業中だという。

 


そう、私の行ける範囲にはないというのがポイントだ。ホノルル空港の宿泊可能場所は、主にゲート内のみにある。ネットの情報は表記不足か、古いか、単に間違っている。ゲートの外には本当に、トイレ、水、スタバの3点しかない。

 


スマホの光量を最低まで落とし通知を消し、余計なサイトは一切見ず、連絡も基本返信をやめる。仕方ない。ここで生き抜く!

 


腹を決め、改めて居場所を探す。先程歩いたとき、ターミナル2の2階野外通路に横になって休んでいる人たちが数人いた。同じ状況ではないか。彼らの近くに居を構える。寝袋も敷いちゃう。荷物はすべて、防犯ワイヤーで建物の一部に括り付けてしまう。チャックもワイヤーを上手く通して開かないようにする。貴重品は羽織の下のポーチへ。

 


とにかく飲み物でもいいからカロリーを調達しようと改めてスタバに行くと、2店舗中の片方には実は食糧があったことが発覚した。これは強い!電源と食事という二大エネルギー源の不足のうち片方が解消され、一気に憂鬱が飛ぶ。大荷物、なれない土地、強い日光で消耗したエネルギーを丸一日回復できないのは正直厳しいと感じていた。

 


実は到着早々空港のWi-Fiがない問題にも直面していた。ただこれは、Web情報と足の探索で特定のエリアでしか繋がらないことが判明して解決をみる。地図も見つけられなかったが、ターミナル間の野外通路の柱に一枚だけひっそりと貼られており解決。Web地図にアクセスできるQRコード掲示されていた。ここに着いてから、探せば探すほど必要なものがどこからか見つかり、本当に探索型ゲームをしているような気分だ………。

 


しばらく寝袋の上に寝転び、本を読んで過ごす。本ごしに青空が見え、風が吹く。気持ちいい。海も砂浜も何も見てないのでハワイにいる実感はないが、バカンス気分ではある。しかし、暑いは暑いため喉が渇く。給水とお手洗いへ。

 


あっ!トイレの床に妙なものがあり、駆け寄って確認する。誰かがスマホとバッテリーを充電して床に置いている!トイレに使える電源があったのか!もう今晩を越すのに怖いものは何もない!

 

 

 

21時を過ぎると誰が野宿者なのか確定してきて、皆ずっと同じ場所にいるのでもはや顔見知りめいてきた。1人で過ごしているフィリピンの方に声をかけられて雑談を交わしていると、変な人でないと認定されたのか大家族のビッグパパみたいな人にも話しかけられる。突然ペプシをくれる。有難く受け取る。

 


ビッグパパが今度は密閉袋を持ってくる。「自家製のウベだよ!食べてみて!」。ウベとは、紫芋だがタロイモではない、甘くてスイーツ向きのヤムイモの一種だ。ハワイのスイーツだよ、食べな!と差し出され、突き返すのもなんなのでとりあえず受け取ってみた。少し警戒するが、ビッグパパ・ファミリーも同じ袋から食べていたことを思い出し、OK判定を出す。美味しい。形も味もサーターアンダギーに似ている。そうする間もフィリピーナは私に怒涛の勢いで喋り続けている。

 


突如、巡回警備員がフィリピンの方に話しかけた。「ヘイ、それ美味しい?」。なんでも、警備員がフィリピーナにカップ麺を買ってきてあげたらしい。「デリシャスだったわ!シホミ、日清、日清!」。初めて見るが日清がハワイ用に(?)出している味とパッケージのカップ麺のようだ。

 


「君、お腹空いてない?」警備員が私にも聞いてくる。正直、スタバの小さいくせに一個千円近いパンにビビってケチってあまり食べていなかったので、ちょっと足りていないきらいはある。嘘がつけずまごついていると、OK!買ってくるよ!ちょっと待っててね!と言われる。そんなにわかりやすい?

 


警備員は水までセットで買ってきてくれた。フィリピンの方とも色々な話ができて、楽しい。写真撮ろ!と言われてツーショット。ビッグパパには家族写真の撮影を頼まれてパシャリ。

 


これで終われば良かったが、警備員に後から「僕のアパートで休んだほうが安全だよ!カモン!」と言われて笑った。警備員が率先して治安を乱さないでほしいのと、他の人にも買ってあげてたけどカップ麺は下心なのか?という2点で。

 


最後に、寝袋でもう休もうとするとフィリピーナがずかずかっと上がりこみ、ジーザス・クライストの話を30分ほど滔々とたれた。熱心なクリスチャンで、私を神の国に連れて行ってあげたいとスマホ版聖書を引き引き、説明してくれる。更に、私が死後地獄ではなく天国にいけるように、旅が安全で良いものになるようにと祈ってくれる。カトリック校でこうした説法は聞き慣れていたので懐かしい。私も彼女のために祈り返して、おやすみなさいをした。

 


今日も長く、混沌とした一日で楽しかった!

やっと8月20日が終わる。

 

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